はじめての卒園アルバム
BLOG Archive
- 卒園アルバムTOP
- はじめての卒園アルバム
- 卒園アルバムに使う上手な写真の選び方
2021.11.23
卒園アルバムに使う上手な写真の選び方
今回は卒園アルバムに使う写真の選び方についてお話しします。
卒園アルバムの写真選定といえば 「園児の掲載枚数の公平性」 の命題が頭に浮かぶと思います。
ですがこの「公平性」の縛りを意識しすぎると、アルバム本来の魅力が低減することもあり、そうさせない工夫が必要となります。
- なんかパッとしない
- 特定の写真だけ目立たせるには
- 難しい作業はムリ
- シンプルに目立たせたい
目次
このブログの動画版がございます
このブログをダイジェストにした動画がございます。お時間のない方はどうぞこちらをご覧ください。
アルバム全体で園児掲載数を公平にする
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
今回は卒園アルバム制作の最重要課題「写真の選び方」についてです。
写真選定が全体のクオリティの大半を占めることから、慎重をきす作業であり、このことから膨大な時間と労力を消費します。
そして最も頭を悩ませるのが「園児を公平に掲載する」という命題です。
今日はこの命題に縛られすぎると、本来の卒園アルバムの意図が遠のく危険があるというお話しをテーマに、理想とする写真選定方法をご紹介します。
公平性を重視しすぎると…
例えば運動会。年長園児が20名と仮定します。制作する側としては「頑張った姿を公平に載せたい」という心情が強く働き、各競技に対して全員の写真を載せようと計画します。
例えば徒競走で20枚、跳び箱で20枚、竹馬で20枚、リレーで20枚、それぞれ同じアングルで撮影された写真を全て掲載するといった内容です。
運動会のほかでは…
- ハロウィンの仮装
- 収穫物を手に持っての記念撮影
- 制作物と共に映る園児
- 発表会の個人アトラクション
- プールの中ではいポーズ
なども個人全員を掲載する傾向が強いイベントです。
仮にこの方法で構成した場合、アルバムを見る側はどういった印象を持つでしょうか。
- 同じ写真の連続で異様な雰囲気がする
- 公平性重視と理解しつつも面白味がない
- 総合枚数が多く1点1点の写真が小さくなるため良く見えない
- その構成の全てが切り抜きだと雑然すぎる
- クレーム回避のための策に見えてしまう
このような意見が大半を占めます。もちろん制作者は「よかれ」という信念を持ってこのページを制作したことは分かります。
ですがこの手法ですと「デザイン=伝える」という点において、それが十分に発揮されていない内容となる恐れがあるのです。少し深堀してみます。
掲載点数が多すぎる
個人競技ごとに全園児を掲載すると、それだけで膨大な量となります。掲載点数が多いと…
- 1点ごとの写真サイズが相当に小型となる
- 個人競技以外の集合写真等も小さめのサイズとなる
- 同じサイズの写真が並ぶことによりメリハリが生まれない
- 情報量が多いことにより人の心に刺さりにくい
- 卒園アルバムならではのデザインの入り込む余地がない
といった事象につながってきます。
園児にとって面白味がない
卒園アルバムの制作は、基本「自由」ですし、アルバム役員に選任された以上、その人の制作内容について、外野にとやかく言われる筋合いは本来無いはずです。
この「全員掲載でいいんだ!」というコンセプトであればそれでも良いと思いますが、仮に「公平性を重視するとこのようにせざるを得ない。でもなんかつまらないな…」と違和感を感じてるのであれば、制作方針を変える視野を持つことをおすすめいたします。
そして、その違和感を抱いた思いに「これで園児は喜ぶのであろうか」という問いをはさんでいただければと思います。
園児が喜ぶアルバムを一概に定義することはできませんが、セオリーとしては次のような内容が挙げられます。
- カラフル
- かわいらしい雰囲気・やわらかい雰囲気
- インパクトのあるレイアウト構成
- プラスアルファの遊び心
- サプライズ性
公平性を重視しすぎる構成では、上記の内容を反映する余地がないことから、園児が喜ぶアルバムとは反する方向に向かうことが懸念されます。
クレーム回避のための策に見えてしまう
「その通りです。これはクレームを出さないための策です。掲載点数にばらつきが起これば、それはそれでクレームになるでしょ?全員載ってるのだから文句ありますか?」
…と、制作者からしてみれば、正直なところ開き直りたい気持ちであることと思います。
公平性を意識しないで制作できるのであれば、もっともっとクオリティの高いものが作れるのにと、悔しさを胸中に秘めて制作されてる委員の方は少なくありません。
この「公平性」と「園児が喜ぶクオリティ」を両立させる手段はあるのでしょうか。
アルバム全体で公平にする
方法の一つとして、ページ単位、イベント単位で全員の公平性を保つのではなく「アルバム全体」で公平性を保つという手法です。例えば…
- 運動会:AくんからGちゃんまでを掲載
- 収穫:HちゃんからNくんまでを掲載
- ハロウィン:OくんからUちゃんまでを掲載
- 発表会:VくんからZちゃんを掲載
といった割り振りにすることです。この方法の課題は下記の通りです。
作業労力が膨らむ
そのイベントページで公平性が完結する目的であれば、写真選定はそのイベント内だけで進めることができます。
反して、アルバム全体での公平性を考慮すると、他のページとの兼ね合いが出てくるため、他ページの写真を同時に確認していく必要があります。
これにより、本制作の前段階における準備に相応の時間を要すこととなります。
保護者に事前承認
あとあと面倒なことを避けたいのであれば、事前に「アルバム全体で写真掲載の公平性を行う」旨を、役員会や懇談会等の席で、保護者に念押しをすると良いでしょう。
承認を得るのではなく「こうします!」と宣言を行う形です(笑)。少しでも園児の喜ぶアルバムを制作したいという目的が根底にあることで、恐らく反論する保護者はいないでしょう。
メンバー間での密な引継ぎ
複数の卒園アルバム委員で、ページごとの担当者制の場合、「このページでは誰を強調するのか」を明確化する必要があります。
また、例えばAさんが運動会の制作を終え、強調するはずだったAちゃんの「いい表情の写真がなかった」、よってハロウィンでこの分を補填して…といった変更事項の申し送りも重要となります。
6ページ単位での調整が好ましい
この全体調整を図る際、6ページほどの単位で掲載園児を決めると良いでしょう。
これを全ページで計画を行うと、未来の予定が急遽中止になったり、写真撮影が認められなかった…などの不測の事態により、既に制作中、または制作完了ページに大きな修正がのしかかってきます。
このことも踏まえ「どのページグループで公平性を調整するか」→「と、なるとこの制作はいつ頃開始か」→「最終納期はいつ頃になるか」等のかなり綿密なスケージュル設定が必要となることを加えておきたいと思います。
無料で使えるフェイスグルーピング機能
アルバム全体で「公平性を調整」する場合、その園児がどのイベントに、どんな表情で写っているかを見ていく必要があります。
ですが膨大に撮り溜めている写真からこれを1点1点探していくのは、苦痛以外のなにものでもありません。
そこでご紹介するのが顔認識で振り分けができるクラウドサービスです。
クラウド上に写真をアップし、そこに映る人物の顔ごとにグループの振り分けをしてくれる機能は、アルバム委員の優れた右腕となるでしょう。
詳しくは下記サイトをご覧ください。
写真選定はメリハリを意識して
写真は「どのくらいのサイズで掲載するか」を意識しながら選定作業を行うことをお勧めいたします。
これは、前項の「園児は喜ぶアルバムのセオリー」で触れた「インパクトのあるレイアウト構成」に関係してきます。
例えば前述した「運動会で竹馬にのる園児全員を、同じアングルで同じサイズで掲載」する場合と「複数名の竹馬に乗る全身像数カット+胸から上の表情中心数カット+ゴールした時の達成感に溢れた顔アップ数カット」を比較した時、どちらが目を引く構成となるでしょうか。
恐らく多くの方が後者であると返答されるでしょう。
同類写真の連続は「閲覧に飽き」が生じます。一方、異なる種別でサイズ違いの写真が配置されると、そこに「メリハリ」が生まれ、見ていてワクワクする感情が湧きます。
このことからメリハリ=インパクトの演出は重要であり、写真のサイズ違いによる編成も、これと同様の効果を生み出します。
サイズのグルーピング
それでは「見開きページ(右ページと左ページを合わせて2ページ分)」に掲載する理想の写真のサイズ編成をご案内します。
- サイズ特大:集合写真2点
- サイズ大:複数名ショット6点
- サイズミドル:数名ショット12点
- サイズ小:調整用ショット10点
- 個人写真:10点
- 上記合計写真点数:40点
あくまでも理想ですので各カテゴリーでプラスマイナスは生じると思いますが、この理想形で分類出来れば、あとは紙面上でバランス良くレイアウトを行うだけです。
レイアウトはパズルにも似た感覚がありますが、うまくはまった時は、メリハリのある、インパクト抜群の紙面構成になっていると思います。
背景のある写真の方が加工しやすい
頭、または体の一部が、写真のふち部分ギリギリに位置する写真より、すこし背景が入り込んだ写真の方が、後々「トリミング」の加工に有効です。
「もう少し背景が入ってれば“丸型”でトリミングできたのに」「いい表情とポーズなんだけど頭と右手が少し切れてるから“切り抜き”に使えない」といった事を回避できます。
このことから、撮影する時点で、パツパツのアップではなく、少し余白のある「引き」の画で撮影し、制作段階で拡大して使用するのが理想と言えます。
先生と一緒の写真を意識的に選択
なかなかありそうでない担任の先生と触れ合う写真。
撮影時はこどもの表情を追いかけるあまり「先生と園児」のショットは逃しがちとなります。
園児は「先生との触れ合うシーン」に喜びを感じます。
- 運動会で成功した逆上がりを抱き合って喜ぶ園児と先生
- 読み聞かせのシーン
- 朝の会で爽やかな笑顔で語りかける先生
- 給食をおいしそうに園児と食べるシーン
- ボデイペインティングで全身塗られ、それを喜ぶ大勢の園児
- 卒園式での涙の数々
先生との写真を見るたびに、現園児は明確にその時のシーンを回想するでしょう。ぜひ先生とのシーンを取り入れていただき、キャプションや吹き出しで、言葉を添えてください。
先生の写真掲載に関連するブログがございます。併せてご覧ください。
きれいな写真より意味のある写真を
写真はきれいに映るものに越した事はありません。
ですが、それだけを基準とすると本来のアルバムの意味を失いかねません。
アルバムは「1枚の写真」から、そのアルバムに掲載されてる全ての内容を回想させるくらいの「想起」の役割であることが理想とされています。
たとえ写真の写りが悪くとも、その写真が園児や先生にとって忘れがたい思い出のシーンであれば、積極的に使用するべきと私は思います。
今は「ダメダメ写真」の評価であっても、遠い未来では「宝に匹敵する貴重な写真」に変貌する可能性を十分に秘めています。
関連ブログをよろしければご覧ください。
個人ページの写真は園生活を中心に
全冊共通の個人プロフィールを紹介する「個人ページ」の写真は、保護者に提供をお願いし、プライベートで撮影された写真で構成されるのが、大方の傾向です。
ですが、卒園アルバムの趣旨からすると、本来ここで使用される写真も、園での生活を主体とし、友達や先生と触れ合う内容を使用すべきと考えます。
園児や保護者は、個人ページの自分以外の内容にも目を通しますが、内容が「個人のプライベート」に限定されてることから、その後に目を通すことはないでしょう。
ですが、もし写真が園での生活であれば、思い出を想起させるきっかけとなり、また友達の写真に自分が一緒に写ってる可能性もあります。
つまり長期にわたり、この個人ページも、自分にとっておもいでの記録となる大切なページになりうると言えます。
解像度は十分か
どんなにきれいな撮影されていても、どんなに意味のある写真であっても、その写真が保有する解像度が十分で無いと「印刷」に使用することができません。
解像度はどの程度あれば良いのか、確認の方法などについて解説した関連ブログをご覧いただけると幸いです。
先生にカメラの高画質設定をお願いしましょう
かなりの確率で、先生が撮影に使用される「コンパクトデジタルカメラ」の画質設定は低く設定されています。
先生は、渾身のショットというよりは「記録撮影」の趣旨が強いため、画質を低解像度に設定し「記録枚数」を稼ぐことに重点を置く傾向にあります。
ところがこの「低い設定」ですと、印刷に使用することが難しい。
このため、もしリクエストできるのであれば、先生に「高画質設定、もしくは中」にしたいただくよう依頼してみてください。
切り抜きは動きのあるポーズがおすすめ
切り抜きを想定して写真選定をする場合、できるだけオーバーアクション的な動きものを選ぶと、紙面上で大変映えます。
反対に「直立不動でピース」など動きのないポーズは、レイアウトしてみると思いのほか切り抜き効果を感じることができません。
理想のポーズが存在するか否かは分かりませんが、絵になるポーズの写真があれば、積極的に切り抜きに使用してみると良いでしょう。
切り抜きをテーマにしたブログ記事がございます。
おわりに
今回は卒園アルバムに使う写真の選び方についてお話ししました。
卒園アルバムの写真選定に課せられる「園児の掲載枚数の公平性」の命題は頭を悩ませます。
公平を重視することで魅力的なアルバムが作れなくなるリスクもあり、公平とすてきなデザインを両立するには、アルバム全体での公平掲載すること等に触れました。
公平性が大切なのは重々承知の上ですが、気持ちをそれに縛られすぎず、出来れば制作開始前に、保護者に対し「多少のばらつきはありますのでご了承を」のアナウンスをして、おおらかな気持ちで制作の臨むべきだと思います。
ある程度の掲載バランスが取れていて、あとは園児が喜ぶセオリーをアルバムに投入してデザインする…
そんな進め方が最も理想と言えます。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)