卒園アルバムのつくりかた
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2022.8.12
卒園アルバムに使用する「背景選び」のノウハウ5つと事例紹介
卒園アルバムに使用する 「背景の選択」 は、実は制作の中でも頭を悩ます難所です。
それは 「写真を引き立てるのも沈めるのも背景次第」 だからです。
写真のクオリティ、写真に写る人数、写真に写る色彩感、季節やイベントの特徴などの条件によって、選ぶべき背景は変わってきます。
そう、背景自体は「単体のデザイン」だけでは選択できないのです。
そんな奥深い「背景選び」について今回は事例と併せて解説したいと思います。
- かわいらしい背景を使用したい
- 背景を選ぶときの基準ってあるの
- 背景と写真を合わせた比較サンプルが見たい
- 背景選びは子供目線、大人目線?
目次
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
今回は「背景選び」のノウハウをお届けします。
卒アル制作担当者の方々からの背景に関する相談は少なくありません。
- まったく背景のイメージがわかない
- フリー素材で幾度と試したがしっくりこない
- 試行錯誤に費やす時間が無いためサンプルが見たい
といった声は意外にも多く、制作において深刻な悩みとなっているのです。
今回の記事は、なるべく即座に実践として活用できるよう、実際に背景と写真を合わせて「合う合わない」の体感をしていただけるよう、事例紹介を中心に構成してまいります。
まず初めは「背景単体」での選定は難しいというお題目からです。
1.背景そのもののデザインで選ぶと失敗します
背景はあくまでも「写真を引き立てるための素材」となります。
好印象を持った背景であっても、それがアルバムに載せる写真と「合う」かは計り知れません。
本来であれば、幾つかの背景候補を入手し、写真の背面に敷いてみて「見え方」を確認するのがベストです。
ですが、闇雲に複数の背景を選んでも労力の無駄遣いに終わる可能性があり、ましてや店舗での購入となると、限られた予算の中では限界があります。
そんな時「この写真を載せる条件の場合は、こんな雰囲気の背景が合う」といったガイドラインがあれば、背景の候補選びの負担が軽減されます。
そのガイドラインをご案内します。
背景のカテゴリーを知る
背景は、いくつかのカテゴリーに分けることができます。
- 1色塗り(ベタ塗り)
- 1色塗りでグラデーション
- 幾何学デザイン
- パターンデザイン
- リアル系
- キャラクター
- アナログ(主に水彩系)
それぞれの内容を解説します。
解説は異なる4つのテイストのサンプルページを用いて、カテゴリーごとの背景を敷き、比較いただく形で進めてまいります。
1色塗り(ベタ塗り)
デザインを一切施すことなく「単色」だけを使用した背景は、写真の持つ良さを、力強く前面に押し出す作用があります。
「余計なものは何もいらない」というコンセプトを持つ制作者や、切り貼り(プリント写真を切り抜きして台紙に貼る制作方法)を選ぶ方の使用が顕著です。
この時選択として、
- 色画用紙にあるような原色カラー
- 淡いパステルトーン
を考慮することとなるでしょう。
原色系カラー
切り貼り制作における「背景入手」で文具店に行き、背景になるようなものを探したが、結局「原色系の色画用紙」しかなかった…
といった理由で「原色系」の背景の使用と相なったケースを良く耳にします。
ですが原色系背景が、切り貼りされた写真を見事に引き立てており、この強烈なコントラストは見る人を引きつけることでしょう。
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
淡いパステルトーン
パステルは「柔らかい」「明るい」「かわいらしい」といった雰囲気から、卒園アルバムを無難に制作したい方にとっては、必須の背景と言えます。
最近パステルは「ミルキーカラー」や「くすみカラー」などとも表現され、ファンシーな雰囲気を演出します。
異なる複数のパステル素材を部分的に組み合わせ、創作背景を作られる方もいらっしゃいます。
それだけ万能な背景色と言えるでしょう。
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
紙の調達は100円ショップで
紙は色画用紙を用いると良いでしょう。
「100円ショップ」でも購入ができて、最近は
- くすみカラー
- ミルキーカラー(パステル)
- 暖色系
- 寒色系
などバリエーションも豊富。
切り貼りだけでなく、色画用紙をスキャンしてデータとして取り込み、色補正をしてパソコン制作に役立てることもできますね。
面白みがないという感想もありますが、きれいさっぱりとデザインを捨て去り、いさぎよく単色で構成した原稿には、清々しい印象を抱きます。
1色塗りでグラデーション
前述の「1色塗り(ベタ塗り)」を最低限のアレンジで「動き」をつけたグラデーション背景。
このグラデーションにも2種あります。
- 濃い色から濃い色へ
- 淡いパステルから白へ
「濃い→濃い」は「斬新・力強さ・主張」といった印象を与えます。
「淡い→白」は「おしゃれ・清潔・無難」でしょうか。
「1色ベタ塗りでは心もとない…でも冒険もしたくない」といった方には最適な背景と言えるでしょう。そしてこの種の最大の特徴は、
という点です。
十人十色の見え方があるのは当然ですが、恐らくどの方にも好き嫌いを与えません。
突き抜けるような主張もなく、優しく包み込むような雰囲気があり、写真を抑制することもない…
様々な背景を試したけどどれも今ひとつ… というのであれば、1色グラデーションを選択されてはいかがでしょうか。
濃いグラデーション
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
パステルグラデーション
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
幾何学デザイン
派手で複雑怪奇なものではなく、淡い色使いで控えめにデザインされてる幾何学模様は、卒アル人気の背景です。
写真と写真の空間から「さりげなく」見えるデザインパーツがアクセントとなり、原稿全体の好感度を引き上げます。
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
パターンデザイン
安定感あるパターン背景は、番人受けするデザインの王道とも言えます。
オブジェクトを持つデザインが繰り返し並んで構成されているもの、縦ストライプ、ななめストライプなど、原稿全体に動きが生まれるのもパターンの特徴です。
【将来の夢】
【親子遠足】(サンプルアルバムではこの背景を採用しています)
【園の一日】(サンプルアルバムではこの背景を採用しています)
【切り貼りサンプル】
リアル系
その背景自体が一つの作品として完成されてる「写実的描画」の背景。
インパクトがあり注目度が高く、ストレートなメッセージ性があることから、選択する衝動にかられます。
ですが、実は 一番写真に合わせるのが難しいのがこのカテゴリー です。
写真を多めに掲載する場合、背景に描かれてるオブジェクトはほとんど隠れてしまいます。
さらに厄介なのが、写真と写真の間から「顔をのぞかすオブジェクト」が中途半端な見え方の場合、「このチラッと見えてるものはなんだろう」と見る方にストレスを与えてしまうこともあります。
だったら、最初から見せない方が賢明だろうということで、結局のところ無難な「ベタ1色パステル調」に落ち着くというのは良くある話です。
【将来の夢】(サンプルアルバムではこの背景を採用しています)
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
キャラクター
リアルに共通する点が多い「キャラクター」を施した背景画。
写真で大方が隠れてしまうことを前提とし、いかにキャラクター部分を外してレイアウトを行い、かつ不自然に見えないようにするかが制作のポイントです。
リアル系にも言えることですが、写真を絞り込み、背景と写真が対等な立場でひしめき合う体裁にすることが重要でしょう。
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】(サンプルアルバムではこの背景を採用しています)
アナログ(主に水彩系)
青空の写真や、コルクボードのイラスト、水彩絵具で書かれた絵画などを背景に用います。
フリー素材提供サイトで「水彩画」の背景を良く見かけますが、写真と合わせると少々違和感があります。
それは「活発な動的な写真が多い子供の姿」に対し「落ち着きがありレトロ感のある描画手法」が相反する雰囲気であることが理由です。
写真びっしりで、背景のほとんどが見えない状態であれば良いのですが、写真が少数の場合はそのレイアウトが鍵を握ります。
【将来の夢】
【親子遠足】
【園の一日】
【切り貼りサンプル】
2.写真が多いほどシンプルで抽象的な背景を
当然ながら写真点数が多ければ多いほど「背景の見える面積は減少」します。
また写真の情報量が多いことから、できれば写真意外での情報は控えめにし、見る方にとって「情報過多」とならないよう工夫するべきです。
仮にキャラクターやリアル系の背景を使用した場合、写真以外の空間部分に「中途半端に顔ののぞかせるオブジェクト」が見え、見る人にストレスを与えることとなります。
このことから多量写真の場合、キャラクター等のオブジェクトを持たない、シンプルかつ抽象的なデザインの背景を選ぶのが得策です。
ちなみに多量の基準ですが、 1ページ20点程度-見開き2ページで40点程度以上と想定 しておくと良いでしょう。
3.キーカラーを設定するとデザインがスムーズに
キーカラーとは、卒園アルバムの各ページに掲載する「季節」や「行事」からイメージされる色彩を示します。
このキーカラーをベースとして背景・フレーム・タイトル・フリー素材などの色を決めていくと、迷いのない上に完成度の高いデザインに仕上がる傾向にあります。
キーカラーの例は次のようなものです。
4.フリー素材の使用とその注意点
Googleなどのネット検索に「フリー素材|背景」と入れると、数多くの素材提供サイトがヒットします。
どのサイトも心躍る素敵な背景画が並んでいますが、落とし穴がありますのでご注意ください。それは、
という点です。
ほとんどのフリー素材は、ネット閲覧にふさわしい解像度を基準に合わせて「サイズや解像度」が設定されています。
その素材を使用し、そのまま紙面印刷を行うと「解像度不足」に伴う「画質劣化(カクカクした雰囲気やにじみのようなものが見える)」として出力されます。
どのように判断?
フリー素材提供サイトのダウンロード画面に、背景画像のサイズが記載されていることはまれです。
つまりダウンロードしてみるまで実態が分かりません。
一つのサイトで「大きなサイズ」のものあれば「小さなサイズ」のものもあります。
当方も「確実にこのサイトの素材は十分なサイズ感です」とご案内できないのが歯痒いところです。
その中でも比較的大きめのサイズが揃っているサイトを4つ紹介します。
(ご利用、また素材のご使用は個人の責任において実施願います)
フリー素材の背景提供サイト
【Freepik】
【イラストAC】
【Free-vector】
【Canva(キャンバ)】
理想のサイズ
見開きA3、片面A4サイズを基準とした場合、理想のサイズは次の通りです。
- 横幅5016px × 縦幅3572px
- 解像度300dpi
- 横幅426mm × 縦幅303mm
- 解像度300dpi
これらの情報はファイルからプロパティ(windows)や情報を見る(Mac)で確認できます。
解像度が300dpiと書かれていますが、この解像度がパソコンで見ることができない場合、 背景画をパソコン上に取り込み、その画像を400%に拡大して「画質劣化していなければ」問題ない と言えます。
5.究極の背景は「無地」?
行き着くところ、最も卒園アルバムにふさわしい背景は「無地」ではないか…という所見で今回はおしまいにしたいと思います。
卒園アルバムに背景をつけるその理由は
- かわいらしさを表現したい
- 白だと手抜きと思われかねない
- 寂しさを感じる
- 手作り感が足りない
など様々ですが、どちらかと言えば「個人的な考え」が基となっており「なんらかしらの背景を付けなくてはいけないもの」との「制作責任」の概念に縛られてる様にも思えます。
アルバムを受け取る方は、きっと「白はNG」などの観念はなく 「すっきりとしてて綺麗」「余計な造作がない方が写真が引き立つ」 などのポジティブな思いを抱くと思われます。(実際にそのような感想をいただいたという報告事例は多くあります)
周りを見渡しても「フィルム台紙アルバムの台紙は白」「画用紙やノートの基本は白」「デッサンは対象が空間に溶け込むように描画するため白の用紙を使用」など当たり前のことではありますが、白はその上に載る文字や絵を、最も美しく見せる究極カラーに違いありません。
確かに背景に無地(白)を採用するとなると、写真のレイアウトや写真を囲むフレームのデザインなどをより洗練させるべきと思いますが、「どんな背景にしようかな…」と深く思い悩むのであれば、清く「白一色」で取り掛かるのも良いのではないでしょうか。
おわりに
今回は「背景選び」について事例と併せて解説いたしました。
背景の選択基準は、写真掲載点数や写真に映る情報量、写真から発せられる色彩等で大きく異なってきます。
写真が多ければ、背景の情報が少なめとなる「シンプルな単色を用いた幾何学デザイン系」、写真の色彩が鮮やかな場合は「落ち着いた1色のグラデーション系」、写真が少なければ、キャラクター系の背景を使用し「キャラと写真がひしめきあう」雰囲気で制作…
など構想の計画が必要となります。
また、ネット上のフリー素材サイトが提供している背景は、印刷する上で「サイズ不足」のものが主流であるため、使用には確認が必要です。
最も大切なことは「写真が引き立つ」背景にすることであり、背景単体が良いからといってそれを押し通さないことと言えます。
色々な背景を候補とし、試行錯誤されて最良の背景でそのページを演出してください。
なお、キッズドン!の「そのまんまコース(お客様ご自身で原稿を制作する方法)」でご成約の際は オリジナル背景画を進呈 しております。
背景画は下記コンテンツからご覧いただけます。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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